数えられなかった羊

http://arabic.kharuuf.net/archives/1653

 ここのコラムたまによんでいたのですが、電子書籍化されたようです。

 いわゆる旧来の日本の知識層ってせいぜいヨーロッパのドイツやフランスやイギリス、または、アメリカの輸入しかやっていなかったわけです。(それより大昔は、中国、インドになるわけですが)

 ヨーロッパ以前の世界の覇権を握っていたのはイスラム世界であって、彼らに対抗するために試行錯誤したことがヨーロッパ人の近代化につながったわけですが。

 日本人にとっては、イスラム世界との接点が無かったため、ここの知識がすっぽり抜けていました。加えて、アラビア語やペルシア語の難解さは、文字を覚えることだけでもたいへんでしょう。東京大学の池内恵氏や、同志社の中田考氏こういう人がメディアにでてきて、日本にかけていた知識が輸入されるようになりました。内田樹氏のような人が積極的に中田考氏にからみにいったりしていますし。



 また、ブロガーでも、イスラム的な考え方をするひとが出現してきて、非常に興味深いです。個人的には、ネトウヨのような排他的思想のブログは読む気も起きないですが(そもそも、よくもそんなに日本万歳できるなあーと思いますが)。
 

 個人的に、自分の知識欲が刺激されるのは、このニッチなイスラムの分野です。特に、反欧米・資本主義的な考え方の人が、ソビエト崩壊後にたどりつくのが、イスラムしか無いと思うので、今後も盛んになるのではないかと思います。
 日本のすぐ近くにはインドネシアもあるし、おそらく、イランが経済制裁解除されて大国化して、1億人のマーケットに対して、日本人がどうやってモノを売るかの話になるだろうし、重要な分野ですよね。

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 話題のイスラム国ですが、日本ではテロ指定されているし、日本がイスラム国に支配されたら、自分は異教徒なので、人頭税を払わないといけないし、酒飲めなくなるし、そもそも、株式投資を認めないであろう時点で、有り得ないですが。

 しかし、そもそものイスラム教に最も忠実な行動をとって、世界中からイスラム教徒がかけつけているわけで、このイスラム国の求心力には驚くしかないです。最近の宣伝動画では、フランスのキリスト教徒が改宗し、イスラム国入りしたことが宣伝動画に使われていたとか。

 http://blog.livedoor.jp/dokomademoislam/archives/33011325.html

 自分はキリスト教徒として生まれ育ち、5年前にイスラムに改宗した。
 きっかけはバイク事故にあったことであり、その後真実とは何かについて探求するようになり、あるビデオをみたことでイスラムこそが真実だとわかった。

 そして地元のモスクに通うようになったが、コーランやハディ―スを学ぶようになってすぐ、フランスのイスラムは偽物であることに気づいた。さらにアラビア半島に行き、そこで入手したムハンマド・ブン・アブドゥルワッハーブの著作を学ぶことを通して、タウヒードやターグートの真の意味を知るに至った。

 フランスはターグートの統治する不信仰の地であり、正しいムスリムはイスラム法によって統治されている地に移住(ヒジュラ)しなければならないと理解し、シリアに移住した。


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 これもやらせではなくて、おそらくガチなんでしょう。熱心なカソリック信者がイスラム教に転向することは何らおかしくない。キリスト教のイエスは神の子っていう設定よりも、イスラム教の神の声を聞いた預言者の一人という設定のほうが説得力があるし、ストーリー的に納得がいく。イスラム教の設定は、キリスト教よりもわかりやすいんですよね。



 イスラム国は、イスラム教の教えに最も忠実であって、新興宗教とは一線を画す。残虐な処刑行為もすべてコーランに載っている程度のことであって、なんらイスラム法に反する行為ではない。(人質ビジネスもおそらくは合法。初期イスラム帝国と東ローマ帝国では人質の金銭のやりとりはよく行われていたこと)だからこそ、キリスト教を深く学んでいる人が転向してもおかしくないし、伝統的なイスラム世界で世俗的に生まれた人たちが、自分たちの伝統を再考し、イスラム国へ行くのも変な話しではないと思う。しかし、国際的にテロリスト扱いになっているため、日本からイスラム国へ行くとかそういうのは有り得ないわけですが。

 イスラム国は確かに1000年前のアラビア半島の考え方にもとづいているから、野蛮にみえるんですが、後世からみると、キリスト教圏の宗教改革くらいのターニングポイントかもしれない。

 預言者ムハンマドは、たとえ、「中国からも知識を求めよ」といったけど、イスラム国が国家として承認されたとして、次のフェーズで科学技術にターゲットしぼって、イスラム国が科学をさらに発展させるかもしれない。楽観的すぎるか?
 

[ 2015/06/13 20:48 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

民主主義について

 ムスリム同胞団出身の前大統領に死刑宣告がくだったそうだ。彼はアラブの春の勢いにのって、エジプト国民から大統領に選ばれた。しかし、彼の政治運営に批判が集まり、軍事クーデターによって選挙結果は反故にされ、一方的に死刑宣告された。

 
 エジプト人、アラブ人、ムスリムはどう思うのか?


 アラブの春による民主主義への幻滅が、イスラム国の躍進にひとやく買っている気がする。

 民主主義は必ずしも最善でないと、エジプト人は気づいたかもしれない。周辺のアラブ人もきづいたかもしれない。

 そして、アラブの春以前にも、パレスチナ人やレバノン人が、民主主義によって、ハマスやヒズボラを選択したとしても、結局、それらは欧米からテロリスト扱いされたこともあった。

 

 欧米から輸入した民主主義という思想よりも、1000年近く、イスラム世界で運用されていたシステムを復古させたほうが、よいのではないか?そう思う人がでてきてもまったくおかしくない。
 

 僕は以前からブログで何度も書いてきたけど、政治で最善なのは、優秀な独裁者による政治である。しかし、独裁者が暗愚であると、最悪である。
 優秀な独裁者の代表例は、シンガポールの李光耀(リー・クアンユー)だ。

 イスラム国のカリフ制システムは、優秀な独裁者を生み出すシステムになりえるのか?熱心な支持者は熱狂のなかで、宗教的にカリフを支持している。
 傍観者としてみるイスラム国の動きは大変興味深いものがある。小説や漫画や映画より、まさに現実は奇怪な現象が起きるものである。イスラム史好きな自分にとっても、かなりの驚きである。

(イスラム国は日本の敵であり、支持はしない)

リー・クアンユー回顧録
http://ameblo.jp/g0mao/entry-11778653617.html

[ 2015/05/21 22:27 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

パルミラ遺跡の価値

 例えば、日本国内に古代に大陸からの入植者がつくった神殿が現在まで残っているとして(現在の日本にとって、直接的な文化の繋がりは無いとして)、むしろそれが日本の皇室、伝統、歴史、宗教、国民性にとってむしろ否定的な面があったとして、日本人は積極的に遺跡を保護するだろうか?

その遺跡は世界遺産に認定され、世界遺産の観光客相手に商売している日本人はたくさんいる。その遺跡を保護しないと、世界の人から野蛮人だと思われる可能性もある。




 となると、日本人は、平時であれば、その遺跡の維持・管理に努めるだろう。しかし、復古的な運動が起これば、そんな価値観はどこへやら。自分たちの伝統に否定的な面があるその遺跡を必ずぶち壊すだろう。そして、ぶち壊したことに対して、日本人は肯定的な意味で,興奮するだろう。

 イスラム国にとってのパルミラ遺跡をわかりやすく考えてみた。間違いなく、破壊すると思う。

[ 2015/05/21 22:17 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

女優リンジー・ローハンがイスラム教の経典コーランを抱える姿が話題




[ 2015/05/14 21:29 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

ジハード主義組織の動画・声明の記録

イスラム国報道でここより詳しい日本語サイトは無いと思う。ブログ書いている人はアラビア語も英語もわかるようですね。どこかの大学研究者レベルの人が趣味でやっているっぽいですが。

 それにしても、イスラム国って実際のところ、それなりに行政政策をやっているんですね。


ジハード主義組織の動画・声明の記録
http://aqap.blog.jp/


 それにしても、メディア戦略すごいですね。聴覚障害者の兵士が手話でメッセージを送ったりとか、いろいろやってる。

[ 2015/04/18 18:30 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

イスラム国 ラマディを征服か?

 イラク軍だって、イラクを滅茶苦茶にしたアメリカの言うことなんて聞きたくない。それにイラク軍のスンニ派はイスラム国に共感している人は多数いるはず。イスラム国の主張していることはスンニ派から逸脱した内容ではないから。


 アメリカの兵隊は戦争なんてしたくなくて、帰国したらPTSDになってしまうような貧困層が大半。
 
 イスラム国には、日本とはちがって数百年の思想体系にそった正統なイスラム教の論理に殉じて死ぬことを意味を見出す人間がたくさんいるのなら、アメリカは最終的には手を引くしかなくなると思う。吉田松陰や高杉晋作や久坂玄瑞はテロを起こしてもPTSDなどには至らないだろう。自分の犯したことが社会を救うという強い信念をもっているから。イスラム国には吉田松陰や高杉晋作や久坂玄瑞が世界中から集まってきており、世界中に彼らが一般社会に潜入している。アメリカが恐れるのも当然だと思う。

 イスラム教はキリスト教からの改宗者の比率が高いらしい。イラク駐在のアメリカ軍兵士がイスラム教に改宗して、アメリカを裏切るなんてこともおおいにありうる展開なのかもしれない。



 歴史の傍観者としての立場からすると、興味深い展開。


 イスラム国とその賛同者の主張は肯定できないが、2つ面白いと思ったのは、ヒトの移動と義務教育のこと。

 1つ目はカネ、モノは自由に動くが、現在はヒトだけが土地に縛られる。ヒトが自由に移動できないから世界で貧富の差が生まれる。イスラムは交易が主流だったから、イスラム世界では自由に移動することができたし、国家も交易を奨励するためにヒトの移動を制限しなかった。そもそも国籍なんてものが存在しなかった。

 2つ目は国家がヒトの心の中まで介入すること。ヒトの心を国家が強制的に教育させるのはどうなのかという点。ヒトの心はヒトが管理すべきではない。ヒトの心は神だけが知ることができる。ヒトがヒトの心を強制的に教育させることはおかしいのではないかということ。イスラム世界では、義務教育は存在せず、私的な教育機関がほとんどだった。

[ 2015/04/18 16:46 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

吉田松陰とイスラム国カリフの共通点

 幕末に攘夷といって外国人に対して無差別テロをしかけましたが、欧米諸国のほうが遥かに強大で、文明国であることに気づいて、尊王攘夷といって命を捨てる人は今、日本では誰もいません。

 明治維新後、国策によって日本文化を完全否定し、欧米的なものをどんどん輸入しましたが、合理的考え方までは輸入できなかったのか、無謀にも超大国アメリカに戦争をしかけ、無惨に負けました。無謀な戦争に疲れた国民は、連合国軍総司令部のマッカーサー元帥をまるで神様のように崇めて、今に至るわけです。あのマッカーサー元帥からも尊敬された昭和天皇はすごいという、そういう話で、昭和天皇は悪くないという論調をはっていますが。尊皇攘夷なんて思想は廃れてしまって、今に通用する考え方ではないです。

 いっぽうで、イスラム国の掲げるイスラム復興運動は時代を超えた普遍性があるから厄介です。イスラム国の思想の原点であるイブン・タイミーヤはイスラム世界がモンゴル帝国の蛮族に支配されていた時代の人です。モンゴル帝国の後継国はイスラム教に改宗しましたが、彼らはイスラム法よりも草原の掟にしたがっていた。イブン・タイミーヤによれば、それはイスラムに改宗したとしても、イスラム法に従わない為政者はジハードの対象になるということです。イスラム国の行動原理は数百年前からの論理による正当性が、彼らの中では担保されているということです。


 

 吉田松陰とイスラム国カリフ、僕はこのふたりよく似ていると思う。

 ・両者ともに高等教育を受けて、学問を深く追求していた。

 ・ともに欧米諸国を敵対視している。

 ・投獄された経験がある。

 ・テロを肯定している。

 

[ 2015/04/18 15:04 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

イスラム国と長州藩

 大河ドラマの花燃ゆは吉田松陰の妹が主人公です。吉田松陰、久坂玄瑞、高杉晋作といった維新の功労者は社会を変革させようとするがために、テロを行いました。歴史の勝利者となったので、彼らは肯定的に扱われます。テロリストがつくった政府が明治維新です。
 彼らのおかげで日本は近代化し、日本は現在の繁栄の基礎をつくったのだと思います。吉田松蔭の国家のために自分を犠牲にする行為は、胸をうたれるものがあります。

 イスラム国と長州藩、何が違うんでしょうか?

 イスラム国を肯定するわけではないし、美化するわけでもないですが、イスラム国に参加する中東の若者と尊王攘夷の幕末の志士は同じようなものではないでしょうか。

 僕たちは、イスラム国で自爆テロをする若者を野蛮だと、まるで、かつての太平洋で戦うアメリカ軍の立場で、彼らをみています。しかし、彼らは吉田松陰でもあるのだと思います。

 何度もいいますが、イスラム国は日本の敵であり、イスラム国を肯定することはできません。

[ 2015/02/02 22:12 ] イスラム | TB(0) | CM(0)