コラム:黒人差別とイスラーム

非常に興味深い内容ですので紹介させてもらいます。

http://www.h7.dion.ne.jp/~gankocat/islam6-11.html


 「黒人は本質的に人間的資質に乏しく、物言わぬ動物に極めて近い。黒人は一般に軽率で、情緒的であり、メロディーを聞くとすぐに踊りだす。彼らはどこにおいても愚か者とみなされる」

 混血とは言えアフリカ系のアメリカ大統領が誕生した現代からみれば、上の発言は偏見と侮蔑に満ちた許し難い暴言である。

 ただ、これは西欧人の発言ではない。
 有名な北アフリカ出身のムスリムで14世紀に活躍した政治家にして学者であるイブン・ハルドゥーンの言葉である。
 歴史書「イバル(実例)の書」の作者であり、マルムーク朝スルタン・バルクークに仕えるなど北アフリカ政界で活躍し、征服者ティムールと会見した歴史上の著名人である。
 マーリク派の法学者でもあり、イバルの書の序章と第一部に当たる所謂「歴史序説」は冷静な観察眼を持って書かれた社会学、経済学などの諸学問に言及した著作として極めて評価が高い。また古典派経済学の基本思想である労働価値論の先駆者としても知られている。

<略>

 などとありきたりな話はともかくとして、近代にいたるまで黒人に差別意識を持っていたのは西欧人だけではない。白人系のムスリムのほぼ全てがサハラ以南の黒人達を獣同様の人々として自分達の下に見ていたのである。そして西欧人に黒人蔑視の思想を植え付けたのは、イブン・ハルドゥーンなどの知識人による書物や、交易を通じて伝えられたムスリム達の言辞であったと考えられているのである。イスラームが、その教義において人種による不平等を否定していたとしても、差別は歴然として存在していた。特に黒人に対するそれはひどく、イスラームを信奉する者は奴隷身分とする事は原則として許されないにもかかわらず、古くからのムスリムであろうと黒人は奴隷狩りの被害に遭い、イスラーム世界や西欧世界に売却され過酷な環境に置かれる事が多々あったのである。

<略>

 皮肉な事に、イスラーム社会が生み出したレトリックは、今度はムスリム全般に対して向けられるようになった。偏見に満ちた近代のオリエンタリズムが新たに創造した価値観に基づく誹謗中傷に、ムスリムとイスラーム社会を含むアジア全体が投げ込まれた事で、もともとフィクションでしかなかった各地の優越思想(中国の中華思想なども含む)が瓦解した。特にムスリムはアイデンティティの喪失は激しく、今や人々は愚かにも(アッラーフではなく)ムハンマドの後継者に助けを求めている。



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 黒人差別というと、欧米系の白人が黒人を差別していた近代の事象をイメージする人が多いと思う。しかし、西欧世界が発展する以前はイスラム世界の白人(いわゆるアラブ系、ペルシア系のコーカソイド。)が黒人を差別していたのである。イスラムには人種や民族で人間を差別しないという基本思想があるにも関わらず(宗教・・・つまり思想では差別してもいい。)である。しかし、近代になるとイスラム世界そのものが欧米世界から差別の対象になるのである。
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[ 2011/08/06 07:03 ] イスラム | TB(0) | CM(0)

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